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写メ日記写メ日記
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MUJUN
TAKA&IZUMI(in childhood)


時たま思い知らされる事実にいつでも焦る。
最初から彼女は彼のものだった。

僕には僕の、カナがいたというのに、あの時既に僕は間違った存在だったんだ。






「今日の夜は大浴場を使わせて貰う」




兄は言った。
食事の時間だった。
僕の家の食事は大抵晩餐会だ。そうでない時は僕も兄も別々に用意されたディナーを好きな時間に食べるだけ。

今日は地方から赴いた分家の叔父が一緒で、しかし、それでも父は一緒ではない。
母は離れた叔父に近いところに座り、ただにこにこと笑っている。彼女の顔を見たのは一月ぶりくらいだ。生きていたのか。
この屋敷の王は兄だ。
父は屋敷の奥にあるご殿の王で、めったに表の屋敷に顔を出さないから。

目の前には酷く煌びやかな食事が並んでいる。
僕は一言も喋らず、兄の言葉を聞いた。

叔父と母には声は届いていないようだった。
それくらいの距離で食事を取る。
ともすれば一人で食べているにも代わりはないのは、もう生まれた頃からのことだ。
今はこう遠い母の、その肌に触れて生まれてきたことさえ、僕には信じ難い。
遠い遠い人達だ。

僕にはこの数メートル先で食事をする兄でさえ遠いのだから。

僕は母と叔父を見やってから、兄に目線を戻した。
母は父のいる御殿で湯を使うし、叔父は帰るか広大な庭のどこかに建つマナーハウスに泊まるだろう。
無意味に広いあの大浴場を使う可能性があるとすれば僕だけ、ということだ。


「僕は使いません」


普段は悔しさからタメ口を聞く僕だが公式な(周囲をずらっと使用人が囲んでるし客もいる席だからね)場所では敬語を使う。
兄はふっと嫌みそうに笑ってから立ち上がった。


「義人、どこへ行くんです」


母が高い声を張り上げる。
母様には関係ありません。
兄はそう叫んで部屋を出た。
どんなにマナーのない行動でも屋敷の若旦那である義人の行動に逆らえる奴はいない。

血の濃さが何より権力であるこのニホンにおいて、我が家で最も濃く父の血を引く彼は絶対権力だ。





だからといって、僕は絶対に、権力に屈したりなどするものか。





「……………」




今は彼女を奪い去ることすら出来ないけれど。




食事を終えて自室へ帰ろうと歩いていた時のことだった。
僕の後ろにはお供が数人。僕の荷物やらを持って歩いている。

ここを通ったのは偶然だった。
大広間の食堂へ出向いたから、たまたま通り道にあったのだ。
例の大浴場は。



「……っや…!」


小さな声と共に、巨大なガラス戸の内側に張られた白いカーテンが揺れる。
と次の瞬間ガタリと音がして戸が揺れ、白いカーテン越しに誰かが背中を戸へ付けた。

真っ白な裸の肌が、濡れたカーテンに透けて、こちらへその体型を映し出している。
細く長い足に、ピンと張った尻、そこから怖いくらいになだらかに括れを描く腰。


それは、僕が欲して止まない兄のもの。



「それ、は…!無、理……ッ」

カーテン越しの彼女が部屋を出ようとガタガタと戸を揺らしている。
僕は足を止めた。
カーテン越しに大きな影が見える。
兄貴が近付いてきたのだろう。
びくりと萎縮する彼女。
割れるのではと思うくらいに強く影の両手が戸を叩き、彼女が身悶えた。
重なり合う影はきっと兄貴が彼女の唇を無理やり奪ったからで、その後カーテンに浮かんだ彼女の体が好き勝手にまさぐられ、蹂躙される様がよく見て取れた。

兄が大浴場を使うと言ったのはこの為だったのだ。
早く離れた方がいいだろう。
後ろの使用人が怪しんでいる。


やがて聞こえてきたのは甘い声で、僕は早くその場を離れたくて足を動かした。


彼女は僕らにとっての毒だった。


奴隷収集家の兄が彼女に固執する余りに彼女を壊してしまいそうなのを知っている。
歯止めが効かなくなりどんどんエスカレートしていることも、忘れられた地下の奴隷の何人かが餓死していることも。

彼女は僕をも狂わせる。
何かを欲しいと思ったことのない敬虔な天使狂の僕さえも。





「いやっ」



ねぇ、イズミ。
君って女は全く、恐ろしいよ。


高く濡れた声でイズミが叫んで、同時にガラス戸が開く。
ぶわりとカーテンが舞う中、イズミが姿を見せる。
これなら足を止めても怪しまれないだろうと僕は進みかけた歩みを止めた。
イズミが僕を捉える。
しかしそれは一瞬のことで、彼女は一度後ろを振り返ってから身に纏わりつくカーテンを引き裂いて纏わったまま走り去った。

裸足の足が綺麗だと僕は呆けて見つめた。

がそれもすぐに出来なくなる。
イズミの消えた大浴場から、大きな図体の男が出てきたことで。

イズミに逃げられて、物凄く不機嫌だ。
今にも人を殺しそうな目付きで周囲を一蹴し、それから手に持っていた縄を勢いよくガラスへ打ち付けた。
ガラスが砕け散る。
僕の後ろで使用人が悲鳴を上げたが僕には慣れていることでため息をついた。



「あっち」

仕方なく僕は助け舟を出す。

「あっちへ走っていったよ。そういえばあの子、湖脇のガーデンハウスに隠れるのが好きだったからなぁ」


兄は大きな声で大浴場にいた兄付きの使用人に怒鳴った。


「捕まえろ!二時間で捕まらなかったら懲罰だ」

ヒッと萎縮しきった悲鳴が聞こえ、次の瞬間部屋の中から数人の男が飛び出し、出て行った。
兄も僕が指差した方向へ向かう。ギロリと僕を睨み付けながら。

きっと彼は病気なのだ。と僕は思っている。


「鷹人おぼっちゃま…」

もちろん

「シィ…」

僕が助け舟を出したのはイズミに、だ。


困った声を上げる僕付きの使用人を指を唇に立てた子供のような仕草で黙らせてから、僕は歩き出す。

今夜はあと寝るだけだと思っていたが、思わぬイベントが待っているようだった。
自然と早足になるのを堪えきれずに僕は自室へ向かった。

角を曲がったところの階段で、キャメルがピンと背を張って座り込んでいる。しめたものだ。


「レディが迎えに来たから、ここまででいいよ。荷物を頂戴?」

後ろの使用人をそんな言葉で追い払えば、僕はキャメルに荷物を任せて、走り出す。
階段を上がった先はプライベートルームだから、きっと余計な使用人はほっつき歩いていないはずだ。
両端には3階と繋がっている僕達のメゾネットルームが、その間には書庫、レコードルーム、インテリアルーム、オーディオルームなどの趣味の部屋がいくつも連なる。
中には酒を楽しむ為の部屋やちょっとしたダーツやルーレットやビリヤード台などのあるプレイルームも含んでいてその辺は僕も使うが大抵の部屋は主である兄の部屋だ。

鍵は大抵閉まっていて使用人がいなければ入れない。
と、その一角の給湯室に、影が見えた。
給湯室とは一階に続く小さなエレベーターがあるドアのない小さな部屋で、そのエレベーターを使い、使用人が僕達への朝食やお茶を運ぶ為にあるものだ。
小さなキッチンと鍵付きの冷蔵庫に食器を洗う機械がおいてあるだけのもの。

僕は走ってきて、そこを覗き込んだ。



「イズミ」


シンクに手をつき、首を落としていた彼女がパッと顔を上げる。
カーテンを巻き付けただけの体が壊れそうな程震えてるのが分かった。
腕もそれは同じでシンクを揺らしている。

「タカ…」


彼女は僕のことをタカと呼ぶ。
鷹人様と言われるのが嫌で呼び捨てにしろと言ったらそう呼び始めたのだった。

彼女にしか使われない愛称というのはなかなか心地よかった。


周囲に人がいないのを確認して、僕は飛び付くようにして彼女を抱き締めた。

ふわりと香る蜂蜜のような甘い香りはいつもの彼女の香りで、それにどうしようもなく心の中の何かを掻き立てられる。


「兄貴なら二時間は帰ってこないよ。あの人は馬鹿だから」

抱き締めながらそう囁いてやると彼女のガチガチになった全身から力が抜けるのが分かった。

僕はスーツのジャケットを脱いで彼女に着せてやる。
彼女は黙ったまま僕の肩に頭を預けた。
その頭を撫でてやるとまだ震えている体はまた力を抜いたようで、今度は膝を折ってしまう。

僕よりだいぶ下になった目線が上目遣いに僕を捉える。
震える瞼。
どうして自分がこんな目に会うのかともう何年も自らに問いてきたことを胸の内に追いやって。
彼女は涙を堪えている。

僕は彼女の両脇に腕を差し込んで立たせて、その体をシンクへ押し付けた。
我慢出来ずにその唇に食らいつく。


「ダメ…ッ」

が,彼女の小さな声と胸を押し返す手によって阻止される。
数センチのところまで近付いた僕の唇が戦慄く。

押し返される肩をそのままに首を伸ばして口付けを強請るが、今度は顔を背けて彼女は拒否した。

行き場がなくて、僕は疼く唇を舐めた。
分かっている。

こんなところを見られでもしたら僕達に命はない。


「イズミ…したい…」

声が掠れる。
僕はあまりに必死そうで、少しみっともないかもしれない。
久々に近くで見て触れたイズミに、僕は全身の毛が逆立つのを感じていた。

「だ、め」

まだ何もしていないのに、走ったからとは違う息の荒さ。

兄貴とお揃いの彼女の金の瞳の中で、僕の瞳の銀は瞳孔を全開にした。



続きますo
お題12.「金と銀の狭間で揺れる王冠」でした。
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に来てます。
凄く綺麗な水の色。



今日、訪問者の方からの小説の依頼を正式に受けることを決定いたしました。
雑貨屋に置かせて頂けるようです。
印刷所を介しての本を発行します。フカヤとしての発行は初めてになります。
雑貨屋さんは鎌倉にあるそうです。
フカヤという名前で発行しますので見かけましたら雑貨屋さん共々是非ご贔屓頂ければと思います。
…20代男性の方が個人経営されている雑貨屋さんなので、ニーズの合う訪問者さんは蜂蜜サディスティックにはいらっしゃらないかもしれませんが。

依頼者のカッシーさんには、計算下手な私の為に報酬料などの計算をして頂きほんとにありがとうございました。
何よりこんなに楽しそうで貴重な機会を頂けたことに感謝感謝です。

内容は完全未出の恋愛小説です。
鎌倉が舞台の、ちょっと切ないラブストーリーになる予定です。
頑張るぞー!
やっべ。更新出来る時間がない。
今日無意味に徹夜するのでそこで何か生み出せたら…いいな。
全部中途半端に書き途中であります。
このあと帰ろうとしたらついてきてひたすら鳴いた。
膝で寝ちゃった時ストールかけてあげてたからきっとあったかくて,今日は寒いからあのままずっといたかったんだと思ったら無視出来なくてまた構ってあげた。
そしたらなんと服従のポーズ!!!(写真じゃ分かりにくいけど)(深谷が持ち上げようとしてる写真じゃないんですこれ)

我が家はペット飼えないから連れて帰れないけど、代わりに少しでもあったかいといいよねって思って、現在この子の為にストールを編んでます。細い毛糸で。




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